演題:One year of war. What we can do to stop aggression
戦争の1年、我々が軍事侵略を止めさせるために出来ることは何だ
(「ウクライナと日本」―友好120年の歩み―)
講師:駐日ウクライナ特命全権大使 DR.セルギー・コルンスキー氏
通訳:駐日ウクライナ大使館3等書記官アシスタント インナ・イルナ氏
ウクライナ国面積:60万3700平方キロメートル(日本の約1.6倍)
人口:4159万人(クリミアを除く 2021年)
はじめにコルンスキー大使は、1年前と現在とを比較しながら話をしますと話を始められました。
1年前(2月24日にロシアが侵攻・プーチン大統領が攻撃開始を宣言する)にロシアは世界中に嘘をばらまいて、ウクライナ侵攻を始めた。侵攻前の当時、ガルージン駐日前大使やラブロフ外相は、決してウクライナに戦争を仕掛けないと言い切っていた。プーチン大統領は、「 ロシア、そして国民を守るにはほかに方法がなかった」と演説で述べた。しかし、この一年間プーチン大統領は事実と反する発言を繰り返している。
侵攻のニュースが世界中に流れた当初、国際報道の大方は短期間にロシアがウクライナを制圧して戦争に勝利するとの論調が主流であった。
ドニエプロ川を境として占領する目論見で戦線は始まり、ロシア軍は戦車を中心に侵略を図り、テロリストがロシア軍の有力な戦力を占めていることが次第に明確になっていった。しかし、当初ウクライナは米軍の兵器を備えて対向しその後NATOの兵器支援を受けてきた。
ロシアのプロパガンダは軍関係施設しか攻撃していないと発表しているが、現実には全く嘘で民間施設が破壊されてきた。初期の激戦地マウオポリ(ドネツク州)40万人都市が完全に破壊され現在は占領されている。ロシア軍の女性・子供に対する人道にもとるような残虐な行為は今も続いている。
2023年1月戦況
ウクライナ人死者7155人(うち子供438人)国連
難民 800万人(うち日本受入2000人)
ロシア軍 死亡者数 12.7万人 戦車被害 3,200台
今後の展開
ウクライナとして勝利を勝ち取るまでロシアとは停戦しない。
①全土を奪回(クリミアも含め)
②破壊施設の賠償、
③犯罪者の国際裁判
ロシアの核使用について、ウクライナは恐れていない。現実に使用されることも想定し、もし使用された時の対抗策も準備している。
国民調査で国民の97%が現政権を支持し、ロシアに譲歩することは全くない。
今年期待している事項は、ロシアの没収資産による戦後復興基金を元にインフラ再建を目指す。そこには、日本の全面的支援と対ロシア制裁の更なる強化を望んでいる。
【主な質問】
Q.なぜプーチン大統領は侵略したのか?
大使のコメント:ソ連崩壊後、プーチン大統領はウクライナ・モルトバ・ジョージアの3か国がEU、NATOに参加することが我慢できなかったのであろう。そして、ロシア政権を保持するために侵略を始めた。プロパガンダの内容が余りにも現実離れしており、ロシアが偉大な国家として認められたいし、そうでなければ国家として存続できないとの発想が根底にある。
プーチン大統領の本音は、米国にロシアを認めさせることにあり、今回の侵略の裏側で米国と交渉したい意向を持っている。
もう1か国、中国を意識している。今後、もし中国がロシアを攻撃してきたら2か月ほどでシベリアを占領されると認識している。そこで、非常に中国には気を使っている。
とにかく、中国・北朝鮮との連携を益々図っていくだろう。
プーチン大統領は戦争をやめるつもりは無く、今後は力で止める方法しかない。ですから、西側諸国から武器の供給をさらに拡大してウクライナ支援を強めていくしか方法はない。
Q.日本からの支援、日本国民一人一人が支援するとしたら何があるか?
大使のコメント:日本国民のウクライナ支援(日本国民80%が支援協力を支持)が、日本政府の支援を支えている。具体的には、ウクライナ難民の受け入れ、寄付金、薬や衣料・石油ストーブ、カイロ、発電機そして数は限定するがボランティアでウクライナ現地に入っている方もいます。姉妹都市からの支援も大きい。
今後とも、ウクライナ支援をよろしくお願い致します。